31.TECHART LM-EA7の対応ボディ、瞳AF精度など豆情報(追記あり)

Contax Planar 85mm F1.4 + TECHART LM-EA7 + SONY A9
Contax Planar 85mm F1.4 + TECHART LM-EA7 + SONY A9

当たれば凄いがピントの山が掴みにくいことで有名なプラナー85mm F1.4。
このレンズのフル画角と瞳AFで子供を撮りたい......
という野望を叶えるためにLM-EA7とα9を買ったのです

CONTAX Planar85mmF1.4でAF-C&瞳AF を目指して買ったTECHART LM-EA7を1年使ってみての感想など


既にメジャーな電子アダプターとなった感のあるTECHART LM-EA7についてです。

Leica Mマウントレンズ及び、Leica Mマウントへの変換アダプターの存在するあらゆるレンズをオートフォーカス対応にしてしまうSONY α機用のアダプター。

仕様やレビューはインターネット上で簡単に見つけられるので割愛し、今回は自分が購入した際に目にしなかった情報について書いてみたいと思います。購入検討されている方にとって何かしらの役に立てれば幸いです。


1.動く子供の撮影など「AF-C & 瞳AF」が目的ならばα7III世代以降のボディが必要だと思います。

自分がLM-EA7を試したボディはα7II、α9、α6400の3機種のみなので、推測も交えた書き方で恐縮です。

α9、α6400はAF-C & 瞳AF撮影OKです。動物瞳AFもOKです。LM-EA7ファームウェアver.6で確認。

α7IIは、1周間レンタルで使用したのですがAF-C & 瞳AF撮影はできませんでした(LM-EA7使用時に瞳AFの設定ができなかった記憶があります)。LM-EA7ファームウェアver.5と6で確認。AF-Sは軽快に動くので、AFスポット指定で瞳を狙っての大人ポートレートなどは十分に対応できると思います。子供は画角内で右へ左へ前へ後ろへ自由に動くので、スポット指定のAF-Sだとストレスが溜まります。少し絞ったり離れたりして対応することになってしまうでしょう。

推測ではありますが、LM-EA7でAF-C瞳AFをするためには、「リアルタイム瞳AF」を謳った世代以降が良いのだと考えます(α9、α7III&7RIII、α6400以降に発売された機種)。

2.動画撮影時にはAFは動作しません。

うまく機能しないのではなく全くAF動作しません。完全マニュアルフォーカスになってしまいます。プリAF設定をONにすればもしや...などと邪な考えを持ってみましたが、メニューがグレーアウトされており、設定を変えることすらできませんでした。オールドレンズ+LM-EA7を使ってのAF動画は諦めるほかありません。


3.AF-C & 瞳AFの精度は「不満なく使える」レベル(α9、α6400での話)。

AF-SでのAF精度には特に不満を感じたことは無いです。問題は「AF-C & 瞳AF」での動体食いつき速度。理由はアダプターがレンズ全体をマウントごと微妙に前後移動させることでAFを実現しているから。
軽いレンズと重いレンズでAFの速度が変わってきます。重いレンズほど不利。

アダプターの対応荷重はTECHARTサイトでは700g、日本代理店サイトでは500gと表記されています。
※実際は700gを超えるレンズでも動作はします(保証が効かなくなる可能性があるのでオススメはしませんが、自分はレンズに手を添えなるべくアダプターに負荷がかからないように使っています)。

CONTAX Planar 85mm F1.4(595g+CY/LMアダプター重量)の絞り開放付近で使っている実感で言うと...
子供がでこちらへ走って来る様な状況を最短撮影距離付近で捉えようとすると、大外れは無いですがまつ毛ガチピン率は高くない。ただ、これは動体を被写界深度数ミリに収められるどうかという高度な話なのであまり気にしていません(純正レンズのAFだと結構拾えたりしますので、流石にそれほどの精度は無いのだということです)。

Contax Planar 85mm F1.4 + TECHART LM-EA7 + SONY A9
Contax Planar 85mm F1.4 + TECHART LM-EA7 + SONY A9 (絞り開放付近 SS1/320 HSSストロボあり)
テレビ前でパプリカを踊る姿を瞳AF & AF-Cで撮影。
こちらへ向かって全力で走ってくる様なシーンでなければピンぼけを感じることはあまりありません。
拡大して、まつげまでカチッと解像して見えないのはこのレンズの開放付近の描写特性でしょうね。


通常サイズにプリントして見る分には、殆どの写真で「ピンぼけは感じない」ぐらいの精度は十分にあります。そもそも、最近のレンズの様な抜群の解像感をオールドレンズに求める訳でもありませんしね。


4.全群繰り出し式では無いレンズの場合、少々手動操作しなければ最短~無限遠の全域でのAFはできません。

全群繰り出し式とは、ピントリング操作で前玉と一緒に後玉も前後するレンズです。後玉の前後移動が距離計と連動してピント合わせするレンジファインダーカメラ用レンズ(ライカL39レンズMレンズなど)はこの仕組みです。LM-EA7のAFは、レンズをヘリコイドで自動的に前後させるだけなので、全群繰り出し式レンズが最も適しているのがわかります。

ただ、世の中全群繰り出し式ではないレンズの方が多いと思います。その場合、レンズのピントリングを動かし、ある程度対象にピントを合わせつつAFで追い込む使い方になります。特に不便を感じるものではありません。


5.レンズの最短撮影距離よりも寄れる様になるのは意外なメリットでした。

CONTAX Planar 85mm F1.4(最短1m)、Ernst Leitz Summarit 50mm F1.5(最短1m)どちらも一般的なマウントアダプターで子供を撮ろうとすると「もうちょっと寄りたい」となります。レンジファインダー用レンズだと当たり前のことの様ですが、Summaritの1mなどは、一般的な50mmレンズが40~50cmぐらいまで寄れることを考えると全く寄れないレベル。
LM-EA7なら簡単に寄れる様になります。ピントリングを近距離位置まで動かしてAFするだけです。


Ernst Leitz Summarit 50mm F1.5 + L39->LM adapter + TECHART LM-EA7 + SONY A9
Ernst Leitz Summarit 50mm F1.5 + L39->LM adapter + TECHART LM-EA7 + SONY A9

標準画角50mm最短撮影距離1mのこのレンズでは、本来この程度寄って撮ることもできないのです...。



6.ライカMマウント以外のレンズを使う場合、継ぎ足すマウントアダプターの干渉に注意。

M42レンズならM42->Leica Mアダプター、Contax YashicaレンズならC/Y->Leica Mアダプター という具合に、レンズマウントからLeica Mへの変換アダプターを購入し、レンズとLM-EA7の間に継ぎ足すことで、非常に多くのMFレンズをAFさせることができます。

しかし、この継ぎ足すアダプターとLM-EA7の出っ張り部分が干渉してしまって使えないケースがあるのでご注意ください。

最近のAmazonやebayなどでは、アダプターの商品説明欄やコメント欄を良く見れば対応状況が分かるのでチェックしましょう。

余談ですが、私の場合困るのは...LM-EA7と干渉しないPK(DA)->Leica Mアダプターが見つからないことです。

PK(DA)レンズとは、デジタル世代のPentax Kマウントレンズです。カメラからの絞り操作のみに対応しておりレンズには絞りリングがありません。

レンズ底面にある突起を動かすことで、絞りを全「閉」状態から開いてゆく機械的な仕掛けなのですが、このレンズを一般的なPKレンズ用アダプターに繋いでも突起は動かないため絞り全閉状態(F22とか)でしか使えません。
※自分は突起箇所にスペーサーを噛まして「開放のみ」で使うことで凌いでいます。

PK/DAレンズ用アダプターという絞り操作に対応したアダプターはあるのですが、どれもLM-EA7と干渉するものばかりなのです(KIPON製など)...。


7.焦点距離のExif記録は便利...だけど設定値を覚えられない。

このアダプターを使う際にカメラ本体からレンズ絞りを変更することはできません(MFレンズを使うケースが多いので尚更)。カメラ本体での絞り値変更はダミー操作の様なもので、通常は最小値(F2.0)のまま使用します。
ただ、このカメラ操作の絞り値変更には、Exifに記録するレンズ焦点距離を変更するという機能が割り当てられています。

具体的には、カメラボディの絞り値を所定の位置に変更して空シャッターを切ると、その次の撮影から「空シャッター操作時の絞り値」に応じて予め記録された焦点距離がExifに自動記録されるというものです。また、この「絞り値vs焦点距離」の設定値はAndroidアプリを使って自由に変更することができます(手法詳細は他所を見ていただければと思います)。

複数のオールドレンズを使っていて「この写真はどのレンズで撮ったっけ?」と後で気になりがちな自分には非常に助かる機能です。

が、焦点距離を予め登録できる絞り値が10個。
しかもF11、13、14、16、18、20、22、25、29、32と飛び飛びなのでいちいち覚えていられません。メモしておけば...というのは確かにそうなのですが、そのメモを持ち歩くのも一手間。スマホに登録...も、設定変更のためにスマホを出してアプリを立ち上げ...と確認するのはメモを見るより面倒。

というわけで、自分は白地のシールに設定値を手書きし、チルト液晶の裏に貼り付けています。
自分の設定はこんな感じです。
F11 35mm
F13 43mm
F14 50mm
F16 55mm
F18 58mm
F20 75mm
F22 77mm
F25 80mm
F29 85mm
F32 135mm
10個も記録できると思いきや、43mm、77mmなど手持ちのレンズに合わせて細かく刻んでゆくとちょっと足りない気もします。せめて28mmと105mmを追加登録したいなぁ。

8.時には拡大表示&ピーキングでマニュアルフォーカス撮影...できない。

色々と試しているのですが、このアダプターを付けているとファインダーの拡大表示ができないようです。カメラ本体のスイッチをMFに合わせ、拡大表示に割り当てているボタンを押すと、非対応..的なメッセージが表れ拡大できません。

レンズの最短距離より寄ることができるが故にたまにはマクロ撮影的に撮りたいこともあるのですが、花のしべにMFでピントを追い込んで合わせるようなことができないのは少し残念なポイントかもしれません。

(21.11.1追記)

9.LM-EA7は消耗品?⇒結構壊れる気がします。

Twitterで検索すると、LM-EA7の(割と頻繁な)故障についてつぶやいていらっしゃる方を見かけます。

私も同様...。

1台目:2019年4月購入->2020年4月故障(丁度1年)、2台目:2020年4月購入->2021年10月故障(1年7ヶ月)。つい先日2台目が故障し、ただ今次をどうするか考えている最中です。

1台目は新品をebay個人輸入したもの(国内で買うより安い)。ebayのセラーも1年保証を謳っていたのですが、丁度保証が切れるタイミングで壊れたため修理は見送りました。
2台目は国内流通品の方が保証適用&修理依頼がしやすいかもと思いマップカメラにて購入。保証期間中は無事に過ごせたものの、それから半年ちょっとでまたもや故障。

故障までの期間は2台目の方が長いですが、使用量からすると1台目と同等かもという印象です。そこそこお高いアダプターなので、1年ちょっとで壊れる消耗品と考えるのは非常に割高な印象。今回は、この故障について少し考えたので追記します。

故障の症状:
自分の場合、動きがだんだん怪しくなる...様なことは全く無く、2台とも「突然」動作しなくなりました。感覚的には内部の回路が焼ききれた?様な感じ。明らかに物理的な故障ではなく電気的な故障です。いつもならカメラからこのアダプターに通電されると、自動ヘリコイドの動作と共にキュィィと小さな音が鳴るのですが、壊れてしまうと全く無音で動作もしなくなります。

思い当たる節:
自分の場合、耐荷重よりいも「重いレンズ」を頻繁に付けているわけではありませんでした(TECHART社公式表示の700gを超えることは皆無)。どちらかと言うとAF-Cの瞳AFで常時子供を追いかけていることで負荷が高かった様な気がします。だからといって1年やそこらで壊れてもらっても困るのですが...。

このアダプターをAF-Cで動作させると、止まっている被写体に対しても常にヘリコイドを前後に微動作させながら「当たり」をつける様な挙動になります。常にモーターを動作させている訳なので、(壊れたのがモーターなのかどうなのかは不明ですが)電気的な負荷はAF-S使用時に比べれば非常に高いものだと思います。
だからと言って、AF-C対応を謳っている以上、やっぱり1年やそこらで壊れるのは使用パーツが粗悪と捉えざるを得ませんが。

2台目が無事修理できた場合 or 3台目を入手することになった場合、AF-Cでの使用は控えようかな...と考えてしまう今日このごろです。

(21.11.1追記ここまで)

以上、とりとめもなく書いてしまいましたがLM-EA7豆情報でした。

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コメント

  1. はじめまして、私もこのアダプタ使っていて突然動かなくなりました。
    最初モーターを疑い、同等のモーターを購入し付け替えましたが動きませんでした。事前に新品モーターが動くことは確認してあります。
    ここからはあくまで個人の予想ですが、壊れるとしたらメカであるモーターくらいなので、もしやタイマーで止めてる。。。?と疑ってます。
    私としてはその疑いが晴れなかったため、このアダプタは諦めました。

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    1. カジャ様
      初めまして。コメントをありがとうございます。
      モーター交換まで試されたとは驚きです。タイマーなのかどうかはわかりませんが、一定量の使用で壊れてしまう消耗品の様な印象は拭えませんね。
      私はその後日本の代理店へ有償修理の相談をし(保証期間は過ぎていたので)、手数料込2.8万円弱の新品交換(ただし保証期間は半年)となりました。
      次、壊れたらと思うと...やるせない思いですね。。

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    2. 返信有り難うございます。修理で約3万は、高いですね。。。FE50mmf1.8が新品で買えますね(汗)
      疑ってる根拠を伝えてませんでした。
      モーターが動かなくなる時は、徐々に動かなくなる事が良くありますが、私含め皆さん突然止まっています。突然止まるということは、モーターの線が焼き切れると起きますが、その故障をオープン故障と言いますが、オープン故障だとモーター端子間は抵抗値が無限大となるのですが、テスターで確認すると0Ωのままでした。つまり焼ききれてませんでした。他の回路が壊れる可能性も検証しましたが積層セラミックコンデンサやIC、抵抗等くらいしか確認できず2−3年で壊れる部品は確認できませんでした。ソフト的に止めに行ってると考えるのが妥当との判断に至りました。
      あくまで個人の見解ですが(^^;

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    3. 興味深いお話をありがとうございます。電気的な故障でないとすると自分では直せなさそうですね。そして、本国でだけ使える何らかのアプリを使えば簡単に直せたりして...。
      思い返せば私の故障は2回とも使用中ではなく電源を入れた瞬間だったような。まさか通電回数がトリガー?いや、それだと保証期間ギリギリでON/OFF繰り返せば簡単に壊せて何回も交換してもらえるからそんな単純な話ではないか^^;
      いずれにせよ、次は無いなぁ...ですね。ただ、機能的には惜しい。。
      Fotodioxの同様アダプターにMk2が出ているのですが(https://fotodioxpro.com/products/lm-sne-prn-mkii?_pos=3&_sid=afa6ee433&_ss=r)、これも中身は同じなのでしょうかね。悶々としますね。。

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    4. ソフトで止めるトリガとして考えられるのが、

      ①電源が入っている間の時間
      ②モータが動く間の時間
      ③上記2つの総時間をand条件 (①,②どちらも満たす)で、 指定の設定を超えると次電源を入れたタイミングで止める。

      の3つを組合せかなと勝手に推測してます。 2-3年になるよう調整できますね。

      これだと、すぐに止まる事は無く、 且つ皆さんが何故か同時期に故障している2-3年になるよう調整できますね。

      そしてbluetoothでアップデートに対応しているので、 ソフトで総時間をリセットして、分解する事なく修理完了する事も可能でしょうね。

      私もこの商品はとても気に入ってましたが、 根拠のない突然停止に 不信が拭えない為諦めました。。。 日本のメーカーがこういう商品作ってくれるとすぐにでも買いたいですが。。

      リンクのfotodioxproはアメリカ製なので信頼出来そうですが、4万なのとteachartのトラウマもあり買えないでいます。。(汗)

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    5. 何度もコメントありがとうございます。LM-EA7の故障についてここまで情報交換できる機会が無かったので非常に嬉しく思います。
      Fotodioxのものは実はTechartのコピー品だという話があります。Techart用アプリでFotodioxのファームウェアをアップデートしているYoutube動画があります。だとすれば...ですね。私も日本製を望みます.....

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