22.Pentacon 29mm/F2.8は(個人的には)普段使いを避けたいレンズ(追記&更に追記あり&2022作例追加)

PENTACON MC electric F2.8/29mm

Pentacon MC 29mm/F2.8は 絞ればそこそこ解像、開ければ壮絶ピンぼけ感なレンズ → 破壊的なボケを楽しむレンズかもしれない → 明暗ギャップを写すと楽しい


最初に送料抜 2,000円台で入手したSuper Takumar 55mm F1.8の(絞った時の)写りがあまりにも良かったので、7,000円出せば期待は裏切らないだろうと思っていたら見事に思惑が外れた話です。

APS-Cで広角に近いオールドレンズを探す


オールドレンズと言えば、50mmぐらいの焦点距離で種類が豊富なイメージ。
ただ、自分のカメラはAPS-C(SIGMA sd Quattro、PENTAX KP)。

50mmレンズは換算75mmの中望遠域に相当します。
格安で明るい中望遠ポートレートレンズが豊富にあると考えるとそれはそれで素敵なのですが、広めの画角で撮れるレンズも一つぐらい欲しい。

APS-Cカメラで標準画角よりも広いものを探そうとすると...

広角35mm近辺のレンズ⇒APS-Cでは換算52.5mm
広角28mm近辺のレンズ⇒APS-Cでは換算42mm
超広角20mm近辺のレンズ⇒APS-Cでやっと広角 換算30mmに

超広角20mmになってくるとお試しで買える値段のものは見つからず。
自分は、オールドレンズ雑誌なんかにも出てきて手頃な値段で買えるPentacon MC 29mm/F2.8を入手しました。送料抜で7,000円台(eBay)でした。

Pentacon MC 29mm/F2.8はどんな写りをするのか

まずは絞って遠景を確認(手持ち撮影)

SIGMA sd Quattro + PENTACON AUTO 29MM 2.8 MC (F11)
SIGMA sd Quattro + PENTACON MC 29mm F2.8 (F11)

画角がだいたい同じ現代レンズ(SIGMA 30mm F1.4 Art)と比べてみます。
【中央部】

<左:SIGMA 30mm F1.4 右:Pentacon MC 29mm F2.8 どちらもF11で撮影>


【周辺部】

<左:SIGMA 30mm F1.4 右:Pentacon MC 29mm F2.8 どちらもF11で撮影>

SIGMA 30mmには及ばないものの、中央付近はそこそこ解像しているようです。周辺も、まぁ使えなくもない解像かなぁ。

以前、Super Takumar55mm F1.8で「おいおい現代レンズ超えかよ」な解像を見てしまったのですが、今回のレンズに関してはそうはいかないようです。ただ、オールドレンズを絞りに絞って現代レンズを超える風景撮影をしたいとは全く思わないので気にするところではないでしょう。


絞り開放付近で寄って撮影

PENTAX KP + PENTACON MC 29mm/2.8 (handhelded shake reduction on)


次は、オールドレンズらしさが出る開放付近の描写です。
向かって右の目付近にピントを合わせ、丁度中央に来る感じで撮ってみました。
絞り開放(F2.8)では中央のフォーカスポイントでもぼやーっとしています。少し絞ると改善し、F5.6ぐらいまで絞ってやっとそれなりに見えてきます。

...いや、表現が逆ですね。ソフトフォーカスと呼ぶべきなのでしょうが、現代レンズに慣れてしまった目で見ると、F5.6ぐらいまで絞らないと全部ピンぼけ or 手ぶれ写真に見えてしまいます。



そして遠景を絞り開放で撮ると...

PENTAX KP + PENTACON AUTO 29MM 2.8 MC 絞り開放で遠景を撮ると...
PENTAX KP + PENTACON MC 29mm/F2.8 絞り開放で遠景を撮ると...明らかにピントが眠い印象

中央部拡大(ピンぼけではなく解像が眠い⇒ソフトフォーカス)

周辺部拡大(オールドレンズなので像の流れはあるとしても、中央の解像が甘いのでよりピンぼけ感を助長)

オールドレンズにとっては酷な状況ではありますが...。最初、壮大なピンぼけ写真かと思いました。いつもなら即ゴミ箱行きなのですが、敢えて置いておいたことで今このブログが書けます。

逆光で絞り開放だと、なんともメリハリの無いグズグズな写真になりますね。せめて中央部だけでも解像してくれないと、それがオールドレンズの風味なのかピンぼけ写真なのか全く見分けが付きません。これがAPS-Cではなく、もし更に周辺まで記録されるフルサイズのカメラで撮っていたらと思うと...。

PENTACON MC 29mm/F2.8の使いみちは...

グズグズ感が個体差の可能性もあるだろうとは思います。
同じレンズで「比較的シャープな」などと書かれているケースもありました。...いや、そうで無いケースも多いかな。「グダグダなレンズ」だとか「同じ画角なら他のレンズを薦める」とか書かれています...。

雑誌に載っていたのでそれなりに楽しめるレンズだろうと思って手を出したわけですが、今思えば書かれていた文言は「ソフト」だとか「独特な描写」だとか「フレアが凄い」とかだったような...。嘘は書いてない。ものは言いようですね。

さて。とは言ってもせっかく手に入れたこのレンズ。何とか使い所を見つけてやりたい。。。

絞って風景やスナップを撮るなら(Pentacon29mm独特の風合いが見つかるまでは)現代レンズで撮ったほうがマシ。ましてやピンぼけに見えるポートレートなんてもってのほか。と思ってしまいます。

最短撮影距離25cmで、F5.6で寄って撮る?
これも「コンデジでえぇやん」「スマホでえぇやん」と思ってしまう。
最短25cmは特にアドバンテージのある距離でもないですし。

正攻法は「ソフトな感じ(ピンぼけとは呼ばず)に+ハイキー+淡いコントラスト+フレアも入れてエアリーフォト」なのでしょうか(あまり趣味ではないが)。
被写体はやっぱり...花?

ボケ味をもう少し試してみたい気はします。
開放時の周辺の流れが凄いので、背景を選べばボケ味を主役にした写真が撮れるかも。

でもとりあえず、お散歩レンズ的につけっぱなしであれこれ撮るのはヤメておきます。

追記:
最近はこのレンズをフィルムカメラに付けて撮影しています。
光の加減でボケるというより壊れる感じの背景が独特です。今のカメラでは撮れない趣があるのかも。
PENTACON MC electric F2.8/29mm + PENTAX SP
PENTACON MC electric F2.8/29mm + PENTAX SP(fujicolor100)

更に追記:
このページへの検索からのアクセスが非常に多いのでなんだか恐縮し、デジカメ+Pentacon29mmで面白い絵が撮れないか模索していたところ、昨日こんな写真が撮れました。眼の前まで下がってきている桜の枝(夜桜)を至近距離から。遠方にはビルの明かりと右手に街頭の明かりがあります(つまり逆光)。絞り開放で解像はモヤモヤですが、それよりも後ろの破壊的なバブルボケが強烈です。敢えて積極的に開いて寄っていき、ボケの破壊力を楽しむのにうってつけなレンズの様な気がしてきました。
Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F2.8) + Pentax KP
Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F2.8) + Pentax KP


2022年 また更に追記:
その後 様々なレンズを試し、M型ライカ(&ライカオールドレンズ)にも手を出し、オールドレンズに対する考え方も色々と変わってきました。
以前は、「オールドレンズの個性=絞り開放付近の収差によるものなので開放で撮ってなんぼ」、逆に「絞ってしまえばどれも同じ様な写りに...」ぐらいに思っていたのですが、今はそう思っていません。

最近は、ライカMにこのレンズを付け、ノーファインダー・パンフォーカススナップ(F11等に絞り、レンズ指標値を3m程度にした上で、ピント合わせ・フレーミングなど何も行わずに、ただただ被写体の方へ向いてシャッターを切る)などしています。

拙い写真ですが、撮った写真をいくつかアップさせていただきます。解像感に関する評価は変わらずですが、階調表現は意外と豊かな印象。露出アンダー気味に撮って雰囲気を出すのが良い気がします。また、解像感の裏返しかもしれませんが、どこまで絞っても柔らかい印象が残り、ある種「空気感」の様なものを写し込める時がある様に感じます。

Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F16) + Leica MP (TYP240)
Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F16) + Leica MP (TYP240)
現像で若干シャープネスは上げましたが、F16まで絞ってこの印象です。
雲間からの陽光が照らす空気が柔らかく写っている様に感じます。
※PCの場合、画像をクリック→拡大表示→右クリック→新しいタブで画像を表示 とすると等倍まで拡大表示できます。


Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F11) + Leica MP (TYP240)
Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F11) + Leica MP (TYP240)
こちらはモノクロJPG撮って出しです。暗部の粘りが良い感じ。
一つ上の写真同様、大きく絞って逆光で撮った時の光の印象が良いです。


Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F5.6) + Leica MP (TYP240)
逆光ではないパターンです。明暗のギャップを写し込む様に撮ると良いと思います。


Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F5.6) + Leica MP (TYP240)
Pentacon Auto 29mm F2.8 (@F5.6) + Leica MP (TYP240)
こちらも明暗ギャップを写し込む様に撮りました。
拡大すると、F5.6付近の解像が頼りないのが良くわかりますが...
別に自販機を解像バッキバキで撮りたかった訳では無いので問題無しです。




にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ クラシックカメラ・クラシックレンズへ にほんブログ村 写真ブログ カメラ・レンズ・撮影機材へ

コメント