17. sd Quattroでオールドレンズ遊びをしたいっ(2022作例追加)

sd Quattro + K&F Concept Adapter + Pentax Super Takumar 55mm F1.8
sd Quattro + K&F Concept Adapter + Pentax Super Takumar 55mm F1.8

sd Quattroに昭和40年台のレンズを付けたら、絞った時の解像に驚いた話


SIGMA sd Quattroにオールドレンズ(Pentax Super Takumar55mm F1.8)を付けていろいろと試し撮りをしました。

昭和40年台のレンズなので写りはまったく期待していなかったのですが、実際は全くそんなことはなく絞った時の解像具合は現代レンズを超えている...という話です。

本題の前に...実は少ないsd Quattro(APS-C)のレンズラインナップ

SIGMAのカメラSAマウント用レンズを作っているのはSIGMAのみです。
シグマのWebサイトを見ているとレンズラインナップは充実しているように思えるのですが、いざsd Quattro用にDCレンズ(APS-C用)を!
と探し始めると気づくことがあります。

・ズームレンズは18-35mmF1.8通し(広角域)、50-100mmF1.8通し(中望遠域)の明るいアートレンズや、18-300mm(高倍率)などが用意されています。

・でも、標準30mm以外の単焦点や超広角、超望遠レンズとなると話は別です。あるのはフルサイズ対応のDGレンズ群のみ。APS-Cにはちょっとスペックオーバーで割高感があります。

・中古品で探そうにも、シグマSAマウント用レンズは出玉が少なく、なかなか見つけられません。

そんな理由から、自分が使っている手持ちのレンズは次のような感じです。
30mm DC F1.4 Aレンズ … 標準画角の単焦点:スナップ、日常ポートレート(屋内)
18mm-300mm DC F3.5-6.3 Cレンズ … 高倍率ズーム:旅先風景写真用
10mm-20mm DC F4-5.6 生産終了レンズ … 超広角風景撮影用(実質マニュアルフォーカスレンズ)
50mm-100mm DC F1.8 Aレンズ … ちょっと真面目なポートレート用(屋内外)

この組み合わせで数ヶ月過ごしていますが、中望遠以降の焦点距離に少々難を感じていました。

50mm-100mmレンズなのですが、あまりにも大きく重い(レンズのみ1.5kg)のです。カメラと併せると、2リットルドリンクペットボトルを抱えて動く感じです。
「本気でポートレートを撮るぞ」という時以外は持ち歩きたくない。そして寄れない(最短撮影距離95cm)。

18mm-300mmは小さく軽いのですが(重さ半分)、ボケ味が期待できないので楽しみ半減。

やっぱりスペックオーバーでもDGレンズ単焦点を持っておくべきなのか...

と考えていたところ...

sd Quattroでも遊べそうなレンズがあるじゃないですか

オールドレンズです。フイルムカメラの標準画角はフルサイズと同等で50mmほど。このあたりの焦点距離を持つオールドレンズは山ほどあります。

ただ、オールドレンズと言えば、こんなイメージでした。

「製作技術が未熟な時代に作られた、解像も未熟でボケ味も不自然、逆光に弱くフレアが出まくり、周辺減光も大きい低スペックなレンズ。
まぁ、それらを逆手に取ることで、敢えて今では撮れない雰囲気の写真を撮って遊べばいいのだろう。」

そんなイメージは簡単に崩れたわけですが。。。

sd Quattroでオールドレンズを使うために

入手したのは、とりあえずのK&F Concept M42マウントアダプター(M42スクリューマウントレンズをシグマSAマウントに取り付けるためのアダプター:ピン押し非対応で2000円程度~)、Pentax Super Takumar 55mm F1.8(後期型で大量に出回っているアトムレンズ:ebayで2〜3千円ほど+送料)です。こんなレンズが付いたASAHI PENTAXのフィルムカメラ...昔実家にあったような気がするなぁ。。

K&F Concept M42マウントアダプターの脱着はお手軽です。自分は、先にレンズをアダプターにねじ込んで、アダプターごと通常のレンズ交換のようにカメラマウントに着脱して使っています。
アダプター単体をカメラに先付けするタイプのものだと「取れなくなったらどうしよう」とか「取り外しが固い」といったことがあるようですが、その心配は無さそうです。

ただ、ピン押しタイプではありませんのでレンズによっては絞り開放でしか撮れなくなる可能性もあります。SIGMAで使えるピン押しタイプ対応のアダプターとしては、このポーランド製のものが使えそうですがまだ試していません。

追記:その後、絞りリング動作のためにピン押しが必要なレンズ(EBC Fujinon 55mm F1.8)を購入し、KIPONのピン押しタイプM42-SAアダプターを購入しました。きちんと動作しました。国内ですぐに手に入るので良いですね。

sdQuattro + Super Takumar 55mm F1.8 実写 現代レンズとの比較で驚いた

レンズを受け取ったのが夜だったため夜景です。まずは絞り込んでの撮影を2つのレンズで比較しました。
左:sd Quattro + SIGMA 50-100mm F1.8 Artレンズ
右:sd Quattro + K&Fアダプタ + Super Takumar 55mm F1.8レンズ


sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm


どちらも三脚固定、ISO100、F/11、手動でフォーカス。SSはSIGMAレンズ20秒、Takumar15秒です(同じ20秒だと明るすぎたため、撮影画像を見ながら調整)。



↓画面中央の交差点付近の拡大です。

sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
左:SIGMA50-100mm右:Super Takumar

※リンクのクリックで等倍画像を開きます。



シグマレンズの方は車の通行量が多くかなりうるさい感じになってしまいましたのでそこは割り引いて見てください..。
看板等の解像具合を比べてみると、Super Takumarの解像具合...凄いと思います。
加えて、大きく印象が変わるのが光条の形。絞り羽根9枚のシグマレンズ(奇数枚なので光条の数は倍の18本)に対し、Takumarレンズは絞り羽根6枚(偶数枚なので光条数は同じく6本)でシンプルな光条が出ています。シンプルで素敵ですね。


↓次に超遠景、画面上部のスカイツリー(20km以上先)付近です。
sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
左:SIGMA50-100mm右:Super Takumar
※リンクのクリックで等倍画像を開きます。

Takumarレンズ、遠くの描写も問題無さそうです。...というかスカイツリー手前、ビル屋上のアンテナなどを等倍で見ていると、現代レンズよりもくっきりしているような...。
SIGMAレンズはズームレンズ(F1.8通しで、全焦点距離 単焦点並と謳っています)なので、本当はF1.8 55mmの現代単焦点レンズと比べるべきでしょうが。


↓最後は画面端の比較。

sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
左:SIGMA50-100mm右:Super Takumar
※リンクのクリックで等倍画像を開きます。

...これも、Super Takumarの方が流れずくっきりしている...。
...考えてみれば、フィルム時代のレンズが作る像に対してAPS-Cカメラのセンサーは小さい。仮に昔のレンズが像の周辺で減光したり像が流れたりしたとしても、それがAPS-Cイメージセンサーの範囲外で起こっていれば気にする必要は無いのかもしれません。
オールドレンズを使う際にAPS-Cが有利になることもあるんですね。

敢えて絞り開放で遠景を撮ったらどうなるか

左:sd Quattro + SIGMA 50-100mm F1.8 Artレンズ
右:sd Quattro + K&Fアダプタ + Super Takumar 55mm F1.8レンズ
sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
明るい日中の風景写真をわざわざ絞り開放で撮るか?...というのはありますがテストです。どちらも三脚固定、ISO100、F/1.8、手動でフォーカスです。RAW現像はしていますが、同等の明るさになるように露出調整しているだけでホワイトバランスはオリジナルのままです。

これは...。Super Takumar、拡大するまでもなくまず色味が変で解像も全体的にモヤーっとしていますね。。対してシグマレンズは開放F1.8からシャキッとしています。
Super Takumarの絞り値をいろいろと変えて試してみると、この色味・モヤモヤ感はF2.8ぐらいまで続きます。

そして、F5.6まで絞ると...。
sd Quattro + SIGMA 50-100mm DC Art sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
左:50-100mm右:Super Takumar
Super Takumar、色味も自然になり突然キリッとした解像になります。更に絞ってゆくに連れ、中央はもちろん遠景や周辺解像も上の夜景と同様に現在レンズを凌駕しています。

ボケ味についてはまた機会があれば...

遠景ではなく、近くの被写体を狙った時の前後ボケ味はどうか。
気になるところですが、このシチュエーションのレビューはたくさんネット上にあるようなので追々機会があれば書いてゆきたいと思います。
ちゃんと比較するなら、SIGMA 50mm F1.4 Artレンズなどと比べるべきでしょうが持っていませんので深追いできないですし...。

ただ、APS-Cユーザーの自分が持っているSIGMA50-100mm F1.8 Artレンズと比較すると...

50-100mmは最短撮影距離が95cmなのに対してSuper Takumarは45cmなのでかなり寄れます。
寄れるということは、背景はより大きくボケます。これだけでも印象は随分と変わってくるでしょう。
ポートレートで45cmは撮られる側が威圧感を感じてどうかとも思いますが、花やオブジェ的なものの撮影では威力を発揮しそうな気がします。

ちなみに、光源をSuper Takumar55mmF1.8でボカして撮るとこんな感じです。光源が丸ボケではなく六角形になり面白いです。
sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mm
sd Quattro + K&F Adapter + Pentax Super Takumar 55mmで撮った光源のボケ味

------2022.10追記------
この記事を書いてから既に4年も経過してしまいました。
改めて読み返すと、sd Quattroとオールドレンズの話を書くつもりが完全にSuperTakumarの解像の話になっていたりして我ながら何をしたかったのか...と感じます。

「sd Quattro オールドレンズ」の検索ワードから訪れていただいた方に申し訳ない気がしますので、sd Quattro + オールドレンズで撮った写真をいくつか追加させていただきたいと思います。

CarlZeiss Jena Flektogon 35mm F2.4 + SIGMA sd Quattro
CarlZeiss Jena Flektogon 35mm F2.4 + SIGMA sd Quattro
絞り開放で至近まで近づいて撮っています。
硬すぎず、でも質感が伝わってくる気がします。

SuperTakumar 55mm F1.8 + SIGMA sd Quattro
SuperTakumar 55mm F1.8 + SIGMA sd Quattro
絞り値は不明ですが概ね開けていたと思います。
夕陽に向けて逆光で。フレアが広がりコントラストは低下しますが、
オールドレンズで撮っている感があります。

KMZ Helios44-M7 58mm F2 + SIGMA sd Quattro
KMZ Helios44-M7 58mm F2 + SIGMA sd Quattro
絞り値は不明ですが、F8~F11程度まで絞っていた気がします。
等倍まで拡大するとわかるのですが、中心部で特にバッキバキに解像しています。
※写真をクリック後、右クリックで「新しいタブで画像を開く」していただくと等倍まで確認できます。

以上、拙いサンプル写真で失礼をいたしました。
------2022.10追記ここまで------


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